最近、VRやARといった言葉をよく耳にする機会は多いのではないでしょうか。VR・ARに加えてMR、さらにそれらを総称したXRという言葉もあります。
各用語をまとめると、以下のようになります。
- VR:仮想現実
- AR:拡張現実
- MR:複合現実
本記事で取り上げるのは、これら3つの違いについて。VR・AR・XRのそれぞれの特徴を整理しつつ、どのような違いがあるのかをまとめました。
もくじ
XR(VR・AR・MRの総称)のそれぞれの違い
それでは、VR・AR・MRのそれぞれの違いについて解説していきます。同じような言葉ですが、中身は全く違います。
VR:限りなくリアルに作られた「仮想現実」
VRはVirtual Realityの略語。日本語では「仮想現実」と訳されます。
これは、私たちが暮らす現実世界とは別に、コンピューターによって仮想空間を作り出す技術です。
VRは近未来の技術として、古くからSFに登場していた概念でもあります。有名なSF映画ですと、『マトリックス』『レディ・プレイヤー1』『ソードアート・オンライン』などの作品が挙げられますね。
近年はVR技術の進歩もめざましく、高品質なVRヘッドセットが次々に登場。東京ジョイポリスなどのエンタメ施設でプレイできるほか、機材を揃えれば誰もが自宅でVRコンテンツを体験できるようになりました。
晴間はる
ただ、あくまでCGで作られた世界だから、現実と比べるとまだまだ解像度も低いし、荒削りな映像に近いイメージがあるよね
しかし同時に、その空間を自由自在に動けるという感覚は現実さながら。どれだけ高画質になろうと平面に過ぎない映像よりも、遥かに没入感の高い体験ができるメディア。それがVRです。
そのような空間で他人と言葉を交わし、身振り手振りでコミュニケーションをすることもできるVRは、ビデオ通話とも明らかに異なります。
特に、このコロナ禍において同じ空間で過ごすことの価値は高まっており、自宅から遠隔で他人と触れ合える技術としても各業界から注目を集めています。
- VRは、CGで作られた「仮想現実」のこと
- 仮想空間を自由に動き回ったり、他者とコミュニケーションしたりできる
- 映像コンテンツと比べると遥かに没入感が高い
- コロナ禍で企業活用が広まりつつある
AR:リアルを自由に加工する「拡張現実」
ARはAugmented Realityの略語。日本語では「拡張現実」と訳されます。
仮想空間を新たに作り出すVRとは異なり、ベースとなるのは今ここにある現実。現実世界の映像に上書きするような形で、情報やCGを加えて映し出す技術を指します。
最近になって少しずつ普及しつつあるVRと比較すると、ARはすでに私たちの生活に定着しつつある技術。ARといえば、まずポケモンGOを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
晴間はる
ポケモンGOのAR機能では、まるでポケモンがそこにいるかのように見えるよね!
ポケモンGOのAR機能を使えば、スマートフォンのカメラを通して見える現実世界に、ポケモンの姿を上書きして映し出すことができます。
少し前には、ポケモンの前に別の物体が重なるとポケモンが物体の後ろに隠れるように表示されるようになり、よりリアルに感じられるようになりました。
ARが使われているのは、何もゲームだけではありません。ファッションアイテムを試着したり、家具を部屋に置いたりと、すでに幅広い分野で活用されています。
自撮りの際にリアルタイム加工が施せるSNOWなども、ARを活かしたアプリだと言えるでしょう。
- ARは、現実世界に情報を加える「拡張現実」のこと
- CG・画像・文字情報を画面に上書きし、リアルを拡張する
- ポケモンGOの流行によって広く認知された技術
- ファッションやインテリアの分野と相性が良く、ARを使った試着などが可能
MR:現実世界と仮想世界を混ぜ合わせた「複合現実」
MRはMixed Realityの略語。日本語では「複合現実」と訳されます。
読んで字の如く、現実世界と仮想世界を“ミックス”させる技術。と同時に、VRとARをミックスさせた技術でもあります。
専用のMRゴーグルを被るとデジタル化された現実世界が表示され、そこにCGデータや3Dホログラムを呼び出して映すことが可能。
平面的な映像に上書きするAR技術とは異なり、そのCGを360度どこの角度からも見ることができ、さらには自分の手で持って操作することもできます。
晴間はる
仮想に作られたVRと、現実世界に情報を加えるARのいわばいいとこ取りしたような技術だね!
現実世界にありながら、デジタルデータを自在に操れるMR。この技術が普及すれば、SF映画さながらの光景が街中で見られるようになるかもしれません。
- MRは、現実世界と仮想世界をミックスした「複合現実」のこと
- 空間のVRと、現実をベースにしたARを、ミックスした技術
- MRゴーグルを通して、リアルの空間にデータを表示して操作できる
- スマホの代わりにMRゴーグルで情報にアクセスする時代が来るかも?
VR・AR・MRの違いは、「見える世界」の違い
VR・AR・MRについて、それぞれの特徴を簡単に説明しました。こうして並べてみると、個々の技術の違いも自然と見えてくるのではないでしょうか。
詳しくない人に説明する際には、それぞれの「見える世界」と「没入感」の違いに言及すると伝わりやすいかもしれません。
簡単な表にして整理してみると、以下のようになります。
VR | AR | MR | |
---|---|---|---|
意味 | 仮想現実 | 拡張現実 | 複合現実 |
デバイス | VRヘッドセット | スマートフォン ARグラス | MRゴーグル |
見える世界 | 作られた仮想空間 | リアルの現実世界 | 仮想世界と現実世界の ミックス |
没入度 | 高 | 低 | 中 |
仮想世界のVR、ポケモンGOのように現実世界に映し出しているのがAR、現実世界に映し出したものの後ろに回り込んだり立体的になるのがMRです。
晴間はる
MRは馴染みがないかもしれないけど、ホログラムに近いイメージかな!
- VR:CGで作られた仮想空間
→仮想空間自体に入り込むため、没入感が高い - AR:拡張された現実世界
→現実世界に、上から仮想情報を平面的に重ねたもの - MR:仮想世界と現実世界のミックス
→現実世界に仮想情報を3次元的に取り込んだもので後ろに回り込めたりできる
「XR」の現状とこれから
以上、VR・AR・MRの違いについてまとめました。VR・AR・MRを総称して「XR」と呼びます。
現状、これらの中で私たちにとって最も身近な技術は「AR」だといえるでしょう。
スマートフォンアプリにも活用されており、日常的に利用している人も多いはず。AppleやFacebookが開発中と噂されているARグラスが一般にも普及するようになれば、より高品質なAR技術によって生活が便利になるかもしれません。
他方で、今まさに急速に普及しつつあるのが「VR」です。
複数のVRデバイスが発売されVR元年とも呼ばれた2016年以降、VRヘッドセットは少しずつ安価になり、ユーザー数も世界的に増加傾向にあります。2020年発売の「Oculus Quest 2」によって、その流れは加速度的に進みつつあると言って間違いありません。
そして、最先端技術として注目されているのが「MR」です。
特に建設・医療・航空など分野では開発と実用化が進んでおり、トレーニングやミーティングの場面で活用されています。一般に普及するのはもう少し先になりそうですが、ゆくゆくは身近な技術として生活に定着していくとも言われています。
VRにAR、そしてMR。今後ますます見聞きする機会も増えるだろう最新のXRの技術から、目が離せません。