2021年の後半にかけてよく聞くようになった、「メタバース」という言葉。
特に近頃は、ニュースや新聞でも頻繁に取り上げられるなど、メディアからの注目度も高いことがうかがえます。2022年はますます注目が集まり、関連する話題やサービスも多数出てくることでしょう。
今回取り上げるのは、そんな「メタバース」について。
- どうして急に話題になったの?
- VRとは何が違う?
- 具体的にはどういったものを指すの?
本記事ではこのような疑問に答える形で、「まったく何もわからない!」という方向けに、メタバースの基本と動向をお伝えします。
もくじ
「メタバース」とは?
あちらこちらで話題に挙がるようになったことで、その定義や考え方もさまざまに広がりつつある「メタバース(Metaverse)」という言葉。
meta(超越)とuniverse(宇宙)を組み合わせた造語であり、一言で説明するなら、「インターネット上に構築される仮想の三次元空間」を指します(※デジタル大辞泉より)。
国内外ですっかり定着しつつある言葉ですが、実は元ネタがあります。それが、1992年に発表されたサイバーパンク小説『スノウ・クラッシュ』。この作品に登場する架空の仮想空間サービスの名称が、メタバースというらしいのです。
『スノウ・クラッシュ』は日本では絶版になっていたのですが、昨今のメタバースの話題の盛り上がりを受けて、2022年1月に早川書房から復刊が決定。気になる方は手にとって読んでみてはいかがでしょうか。
晴間はる
ピンとこない人は、自分の知ってる作品と結びつければイメージしやすいかも! 『サマーウォーズ』の「OZ」とか、『レディ・プレイヤー1』の「オアシス」とか、『ソードアート・オンライン』の世界とか。
メタバースとVR、何が違うの?
何かとよく聞くメタバースですが、このような疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
「メタバースって、VRとは何が違うの?」
仮想空間が登場する作品といえば、映画『レディ・プレイヤー1』を思い浮かべる人もいるかもしれません。あの作中では、ヘッドマウントディスプレイを頭にかぶって仮想空間に飛び込んでいましたよね。
そのような世界はすでにバーチャル・リアリティ(VR)と呼ばれていましたし、たしかにメタバースと言い換える必要はないようにも感じます。
メタバースと呼ばれている作品やサービスの実例
このような疑問に対しては、別の作品やサービスを例に挙げるとわかりやすいかもしれません。たとえば、映画『サマーウォーズ』の仮想空間「OZ」。
OZもメタバースの例として取り上げられることがありますが、作中でVR機器は登場しません。人々はパソコンや携帯電話からOZにアクセスし、自分のアバターを操作して、その世界で過ごしています。
あるいは、『フォートナイト』や『どうぶつの森』といったゲーム。メディアでは、これらのゲームもメタバースの例として頻繁に参照されています。
この手のゲームは以前からあり、別に珍しいものではありませんよね。
ですが同時に、どちらも見方によってはカスタマイズ(着替え)可能なアバターの姿で自由に動き回れる仮想空間であり、前述のメタバースの説明に当てはまると言えます。
いずれも「インターネット上に構築される仮想の三次元空間」という点では共通しており、VRであることは必須ではありません。つまり、メタバース自体も決して新しい概念ではないのです。
晴間はる
世代によっては「Second Life」を思い浮かべる人も多いかも?
メタバースとVRの違いを整理してみよう
以上のようにメタバースとして分類されている作品の例を参照すると、メタバースとVRの違いは以下のように整理できます。
- もともとはSF小説に登場したサービス名であり、造語
- インターネット上に構築される仮想の三次元空間
- Meta社が注力しようとしている、インターネットの次の世界
- VRやARで作られた空間以外に、ゲームなどの空間も含む
- 日本語では「仮想現実」と訳される概念や技術のこと
- 基本的にはヘッドセットを使ってアクセスする空間
- 画面に表示される空間とは異なり、「実際にその場にいる」と感じるほどの没入感
- VRもメタバースの一部であると言える
つまり、VRはあくまでメタバースの中の一つの要素にすぎません。メタバースはVR以外にも、ARやゲーム空間も意味として含まれます。
そもそも元ネタの小説からして、90年代に発表された作品でした。仮想空間を舞台にした物語はその以前から描かれていましたし、珍しいものではありません。
加えて、ゲームやインターネットに親しんでいる現代のミレニアル世代は、普段からそのような空間で過ごしているわけです。そういう意味では、メタバースはすでに私たちの身近な存在であるとも言えるでしょう。
どうして急に話題になったの?
では、なぜ急にメタバースという単語が取り沙汰されるようになったのでしょうか。大きな要因として挙げられるのは、やはりFacebook社の社名変更です。
2021年10月に開催された技術カンファレンス・Connect 2021にて、マーク・ザッカーバーグ氏が社名を「Meta」に変更すると発表。
ブランド名もずばり「メタ」に変えることによって、これからはメタバースでのサービス展開に注力していく姿勢を示した形です。
晴間はる
発表があったのは配信の最後だったけど、カンファレンス内でも「メタバース」という言葉を何度も使っていたのが印象的だったよね!
Facebook社といえば、みなさんご存知のとおり「GAFA」の一角に名前を連ねる世界的なテック企業。
誰もが知る代表的なSNSを運営するFacebook社が、その社名を変更してまで「メタバースに取り組んでいく」と発表したのは、やはり大きな衝撃でした。
そして、一大テック企業がそのような姿勢を示したことで、以下のような動きが起こります。
- ネットのみならず、マスメディアでも報道される
- 「メタバースとは何か」がニュースとして取り上げられる
- 既存の仮想空間サービスに注目が集まる
- Meta社のビジョンに賛同した人や企業が参入してくる
- 既存の仮想空間サービスでも「メタバース」を使うようになる
- すでにメタバースで過ごしている住民が、自分たちの経験を発信するようになる
個々の動向まで挙げようとするとキリがありませんが、とにかく「話題性」という意味で非常に大きなインパクトがあったことは間違いありません。
Meta社から始まったこのムーブメントは、しばらくは収まることなく続くのではないでしょうか。
メタバースは今後どうなる?
先ほど箇条書きで示した動きは現在進行形で起こっており、2022年はその流れがますます加速することでしょう。
というのも、Meta社が示したのはあくまでもビジョンであり、具体的なサービスや展開はまだ一部しか発表されていないからです。メタバース事業のために大規模な採用をしたという報道もありましたし、今後の動きも気になるところです。
また、日本国内ではVRChatやclusterといったサービスがこの数年で躍進しつつありますが、メタバースが話題になったことでさらに注目を集めています。今まで利用したことがない人も、この機会に使ってみてはいかがでしょうか。
メタバースに限った話ではありませんが、やはり「実際に使ってみる」ことに勝る体験はありません。まずはぜひ、多種多彩なメタバースの世界に飛び込んでみてください。
晴間はる
「ぶいらいふ」ではVR SNSの遊び方も紹介しているから、よかったらチェックしてみてね!